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株式会社カトープレジャーグループ 代表取締役

加藤友康氏

「小さなリゾートにしかできないこと」

株式会社カトープレジャーグループ 代表取締役
加藤友康氏(Tomoyasu Kato)

快進撃を続けるカトープレジャーグループを牽引する加藤友康氏。
お客様を喜ばせるための幅広いレジャー事業の中で、スモールラグジュアリーリゾートを手がける意味とは。

それぞれが唯一無二

「レジャーと名のつくことはなんでもやっていこうと。」
加藤友康氏は、そう話し始めた。
その言葉の通り、加藤氏率いるカトープレジャーグループでは、おうどん専門店「麺匠の心つくし つるとんたん」から、ホテル・フードサービス・公共リゾート・スパ・旅館・エンターテイメントまで、お客様を喜ばせるための多岐に渡る事業を展開している。
「つるとんたん」だけでも国内外合わせて現在15店舗ある。しかし、どれ一つとして同じ店はない。立地の特性やそこでのニーズに合致したコンセプトを作りあげ、メニューを開発しているからだ。ライブステージにバーカウンター付き、接待向け、テイクアウトありなど、どの店も従来の「うどん屋」のイメージを覆すのに十分な個性を主張している。どれもが「唯一無二」である。
「唯一無二」を作って提供するとのコンセプトは、リゾート事業にも反映されている。
リゾート事業の中で、特に「唯一無二」を色濃く感じるのは、加藤氏が10年前から手がける「スモールラグジュアリーリゾート」だろう。
「東京から1時間半ほどの立地で、本当に富裕層を満足させるリゾートがなかったことからチャレンジした」のが始まりだという。
加藤氏は、当時爆発的に流行していた外資系ホテルのマーケットを分析したところ、海外や東京以外からの宿泊客がメインであった中で、都内の富裕層が「ホテル遊び」にも利用していることに気づいた。
「そうしたお客様達の遊び方は、お部屋はスイートタイプで大体10万円を超える単価のホテルに宿泊、ご自宅からも近い所でゆっくりしたいという意見が非常に多かったのです。ではそのローカルリゾート版はどうか?とヒアリングをすると、『行きたいけれど満足するものがない』という意見ばかりでした。」

問題は、「食」「ファシリティ」「ホスピタリティ」の品質にあると加藤氏は考えた。
たとえば高級温泉旅館とされるところでも、食に対する重要度が低く、富裕層を満足させるものが提供できていない。ファシリティも古く、Wi-Fiが完備されていない。今では当たり前となった貸し切り温泉や客室露天風呂もない。ホスピタリティの面でも、きめ細やかなサービスができている旅館は少なかったという。
「こうしたサービスもきちんとご満足頂けるリゾートを作りたかったのです。」
いまやスモールラグジュアリーリゾートは、カトープレジャーグループの取り組む事業の柱へと進化している。ロケーション・建築・料理・温泉、そして光・音とすべてに渡ってこだわりを追求し、次世代のスモールラグジュアリーリゾートとしての細やかなサービスや最高級のおもてなしを提供している。

地の持つ力を引き出す

それぞれが「唯一無二」であるスモールラグジュアリーリゾートにも、一貫したコンセプトがある。その地が本来持っている力を引き出しつつ、リゾート自体をその地に調和させていることだ。
代表的な一つが、著名な経営コンサルタント大前研一氏とのコラボレーションから生まれた「ATAMI せかいえ」。ビジネスエグゼクティブ向けリゾートを意識してデザインされた、熱海伊豆山にあるスモールラグジュアリーリゾートである。
世界発日本リゾートをテーマとし、「せかいえ」のネーミングも大前氏によるものだ。
全客室が広大な太平洋を望む開放的なオーシャンビュー。源泉かけ流し露天風呂や研修施設も完備している。
本格的な日本料理は、相模湾岸でその日に獲れた新鮮な魚介類や地元の農作物から作られる。グローバルなゲストを意識した「ローカルハラル認証」も取得。イスラム教徒のゲストも安心して食事を楽しめるよう配慮されている。
トップ経営者が集うエグゼクティブ研修とスモールラグジュアリーリゾートとの融合が特色だ。都会の喧騒に疲れた体と心に働きかけるコンディショニングサロンを併設し、上質な日本料理にマクロビオティックの要素を取り入れた「やさしいファスティング」を提供するなど、カスタマイズ可能な滞在プログラムも豊富で、日本各地のMICEとは一線を画している。
次に特徴的なのは、完全にワンゲストのためのリゾートとして作られた「GLAMDAY VILLA UMITO MORITO KAZE(グランディヴィラ 海森風)」。その名の通り、見渡す限りの熱海の海と森と風を独占できる空間だ。
熱海の高台から絶景を眺める広大なリビング&ダイニングと、個性の異なる4つの客室。
別荘のプライベート感と高級旅館やホテルのホスピタリティを併せ持つ、新しいスタイルの最高級バケーションレンタルだ。豊富なサービスのメニューを望み通りにカスタマイズでき、自由という贅沢を楽しむことができる。
この「海森風」では究極のバケーションレンタルを目指した、と加藤氏は言う。
バケーションレンタルでありながら、無料・有料のサービスメニューが充実している。さらにはバトラーが常駐しており、快適なサービスが受けられる。こうした自由度とプライバシーが高いリゾートであっても、たとえば2ルーム2ゲストだけで楽しみたいとか、パブリックスペースに出たときも他の方と顔を合わせたくない、といったさまざまな要望を受けることがあるという。ゲストにはそれぞれ違った好みや事情がある。こうした要望にもできる限り柔軟に対応しているとのことである。

ラグジュアリーな時間の過ごし方

ところで、遊び慣れた大人はどんな風にラグジュアリーな時間を過ごすのだろう。
加藤氏が「海森風」での過ごし方からヒントを与えてくれた。
まず時間の使い方はすべて自分で決めたらいい。チェックイン・チェックアウトや食事など決まった時間は何もないのだから。
ガールフレンドと二人だけで過ごす時間は、スタッフにも会いたくない。
温泉はあらかじめ適温に。シャンパンはよく冷やしたのを。
太平洋に浮かぶ初島と水平線を静かに眺めていたいから、あとは放っておいてくれたらいい。
別の季節には、気のおけない仲間10人で集まろう。
一軒家貸し切りなので、気兼ねなくパーティができる。
テラスでBBQも悪くない。肉と地元の新鮮な野菜を頼んでおこう。長い夜、じっくり語らうには十分な時間とワインがある。
翌日は部屋で寿司でも握ってもらおうか。
ラグジュアリーな時間の過ごし方とは、体験から喜びを感じることなのだ。

小さなリゾートにしかできないこと

「スモールラグジュアリーは最大でも50室前後。河口湖は32室で、ちょうどよいのは20室程度だと考えています。」
「お客様に最高の『お喜び』をプロデュースする」ために多様な事業を展開してきたカトープレジャーグループの中で、加藤氏が特にスモールラグジュアリーリゾートにこだわり続ける理由は何だろうか。
それは小さなリゾートにしかできないことがあるから。そして、それこそがサービス業、レジャー事業の根幹にあるべきと、加藤氏が考えているからではないか。小さなリゾートにしかできないこととは、それぞれのゲストに寄り添った、きめ細やかなホスピタリティの提供である。富裕層や海外VIPも含め、ゲストのあらゆる要望に対応するには、大型リゾートでは難しい。
しかしスモールラグジュアリーリゾートであれば、個々の要望にきめ細かく対応することができる。リピーターの多いスモールラグジュアリーリゾートであれば、しっかりした顧客管理の下で、ゲストの嗜好やこれまでのリクエストを踏まえた対応まで可能となるだろう。
ホスピタリティとは、「自由にくつろげること」「プライバシー」「プライベートサービス」を提供すること。これは、スモールラグジュアリーリゾートにおいて加藤氏が最も大切にしていることである。
この3つを最高のレベルで提供することが、「お客様に最高の『お喜び』をプロデュースする」こと。最も優れた形でその実現ができるのが、スモールラグジュアリーリゾートだと加藤氏は考えている。

1965年大阪府出身。ホテル、フードサービス、スパ、ラグジュアリーリゾート、公共リゾート、エンターテインメントなどあらゆるレジャー事業の総合的な開発を行うプロデュース企業、カトープレジャーグループの代表取締役兼CEO。
22歳のときに父親の急逝により事業を多額の負債と共に引き継ぐが、見事に事業を再生させる。最初のマーケティング、コンセプトワーク、プランニング、そして最後のオペレーションまでトータル的に責任を負う、「トータルプロデュースシステム」を強みとしている。
現在、日本全国に事業所を展開し、総スタッフ数約3200名、年間500万人におよぶ顧客を動員している。代表的な事業として「 箱根・ 翠松園 x「Kafuu Resort Fuchaku CONDO・HOTEL」「麺匠の心つくし つるとんたん」などがある。主な著書は、「経営者が欲しい、本当の人材」「世界一楽しい仕事をしよう!KPG METHOD」(ワニブックス)。

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GLAMDAY VILLA UMITO MORITO KAZE https://glamdayvilla.jp/ Atami Sekaie https://www.atamisekaie.jp
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