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ラ・マムーニア

La Mamounia

数多くの著名人に愛され続ける
世界No. 1ホテルを紐解く

目にも鮮やかなモロッコタイルで装飾された通路を進めば、砂漠から乾いた風が吹き抜ける。モロッコの中心部に位置する第四の都市、マラケシュに、世界をを代表するホテル「ラ・マムーニア」は佇む。ここはウィストン・チャーチルやシャルル・ド・ゴール、激動の時代を生きた英雄達もこよなく愛した特別な場所だ。

ラ・マムーニア| マラケシュ モロッコ

かつて18世紀の王から「アルサット・アル・マムーン(神の国の庭園)」と名付けられた、この優美な邸宅と庭は、1923 年に最高級ホテル「ラ・マムーニア」としてオープンした。135の客室、71のスイート、3邸のリヤドで構成され、ホテル内でショッピングやカフェを愉しむことができる。時間のみが創りあげることのできる玲瓏な雰囲気と、細密なモロッコ建築の内装は、ホテルを訪れた者を夢の世界へと誘う。イギリスの英雄、ウィンストン・チャーチル氏は「世界で一番美しい場所」と称した。ここでは、モロッコ文化とオリエントの風習が見事に溶け合う。まるで流れる水のように時代に応じて形を変え、1世紀の歴史を織りなしてきたのである。2020 年、総支配人ピエール・ジョエム氏の指揮のもと6度目の大規模改装を行った。ホテル専門誌「HOTELS」が選ぶ、「世界の独立系ホテルのベストジェネラルマネージャー」に選出された、この傑出した人物は、改装について次のように語っている。「魔法のように蘇ったラ・マムーニア。リノベーションではなく、イノベーションと呼ぶことが好ましい」と。米大手出版社が発表したコンデナスト・トラベラー2021 年世界No1ホテルに輝き、2021 年のホテル、レストラン、バーの世界的デザインアワード「MEA AHEAD Awards」も二部門で受賞した。「マラケシュの貴婦人」と称される誇り高きホテルを紐解いて行きたい。

THE RIAD

100年の歴史に想い馳せる
モロッコ伝統建築リヤドの真髄

モロッコ旅行に行くなら、滞在してほしいのは「リヤド」。それはモロッコ風の邸宅のことで、アラビア語で「木を植えた庭」や「邸宅」を意味する。多くのホテルでこうした邸宅と庭が一体となった客室を備えている。しかし、ラ・マムーニアのリヤドは、他とは明らかに一線を画している。ここでは、一つ一つがまるで宮殿のような趣向を凝らしているのだ。個々の邸宅が、700㎡以上、3つのベットルーム、広々としたモロッコタイル張りの浴室、ダイニングルーム、温水プール、プライベートテラスを完備。かつてマラケシュの王族たちは、庭園で「ザハ」と呼ばれるガーデン・パーティーを頻繁に催し、ゲストを歓迎した。砂漠という過酷な環境に置かれた場所だからこそ、休息を求める人を盛大にもてなすのだろう。

長旅の果てに、こちらのリアドにたどり着いたゲストにもてなされるのは、マグナムボトルから勢いよく注がれる冷えたシャンパン、テーブルに溢れるばかりに用意されたフルーツやスイーツの数々。まるで砂漠からやってきたキャラバン一団をもてなすのかと見紛うほどのもてなし。思う存分、あなただけのザハを満喫してほしい。

創業から1 世紀近く経ってもなお、世界中のセレブリティを虜にするのは、引き継がれてきたサービスの質によるものだろう。24時間在中のバトラーの行き届いたサービスに身を任せ、中庭でモロッコ風の朝食をとったり、アフタヌーンティーを楽しむも良し。是非モロッコのもてなしの心、ザハを心から感じていただきたい。

AL MAMOUN SUITE

「神の国」名を冠した客室
アル・マムーン・スイート

12世紀に作られた頑丈な城壁に守られたラ・マムーニア。このホテルは、近隣のスークの慌ただしさやその外に広がる砂漠とは無縁の静寂と癒しが漂っている。リヤドと並びラ・マムーニアの客室で特筆すべきなのが6つあるシグネチャースイートである。マラケシュ市内にある最大のモスク、クトゥビーヤ・モスクに因んだクトゥビーヤ・スイート。アラビア語で天蓋を意味するバルダキンの名前のついた、サテン生地の天蓋付きのベッドがあるバルダキン・スイート。

フランスで生まれ33歳の時にマラケシュへと居を移した画家ジャック・マジョレル氏に因んだ「マジョレルブルー」と呼ばれる鮮やかな青色が使われているマジョレル・スイート。イギリスの国難を救った英雄ウィンストン・チャーチル氏に因んだチャーチル・スイート。フランス語で、木の表面に違う色や質感の木をはめ込んで模様を作るマルケトリを意味するマルケトリ・スイート。そして「ラ・マムーニア」の由来となった庭園の名前、「アルサット・アル・マムーン」、を冠したアル・マムーン・スイート。この客室は本館の中で一番広く、212㎡の2 ベットルーム。そもそもアル・マムーンとは、モロッコに古くから住むベルベル人の言葉で、「神の国」を意味する。部屋に通されるとまず視界に飛び込んでくるのは、鮮やかな緑の壁と、アクセントとなる真紅のインテリア。イスラム装飾をベースにした壁の木彫りや幾何学模様のタイルに目を奪われるだろう。中でも天井に優雅に揺れる赤いクリスタルのシャンデリアはいつまでも眺めていたい天上の煌きだ。テラスからは、生命力溢れる庭園、敷地内のプール、その後ろにアトラス山脈の稜線と彼方まで続くアフリカの大地を心ゆくまで見渡すことができる。

MOROCCAN GASTRONOMY

東西文化の交流地として栄えた、
かつての王国の名残を伝えるモロッコ料理を堪能あれ

L'Asiatique par Jean-Georges

かつてラ・マムーニアにあったフレンチとイタリアンのレストラン。それらのレストランは、グランメゾンの様相を呈していたが、アジア料理を日常的に楽しみ、格式ばったレストランを敬遠する新たなトラベラー世代に対応するため、新たなアプローチを提案している。どのレストランもラ・マムーニアからのラブコールに応じて、ここだけの料理を提供している。スパイスの魔術師ジョルジュ氏の提案するアジア料理のレストラン。世界中の食通を唸らせたシェフの新たな挑戦は、中華、和食、タイ料理のエッセンスを加えた創作料理だ。様々なものを取り入れ、現在の多彩な文化を生み出した、モロッコ、そしてラ・マムーニアにふさわしい最先端の料理に舌鼓を打つことができるだろう。

提供されるのはモロッコ装飾のようなカラフルで繊細な色合いと飾り付けの逸品ばかり。ジャンルを超越した創作料理。食べる前から想像力が掻き立てられる。目にも美しい食後のデザートはいかがだろうか。

L'Italien par Jean-Georges

かつてラ・マムーニアにあったフレンチのグランメゾンに代わり、今回新たに仲間入りした「イタリアンbyジャン·ジョルジュ」。こちらもジャン・ジョルジュ氏が率いるイタリアンだ。

特製の窯でピザが焼き上がるときの香ばしい匂いも食欲をそそる。巨大な温室を彷彿とさせるデザインで、20m以上のフレスコ画が庭を映し出し、レストランと、このホテルの代名詞でもある美しい庭園を融合させる。室内から一歩出て、自然光の溢れる庭で新鮮な空気の中、アルフレスコ・ダイニングを楽しむのもおすすめ。マラケシュに来た者しか味わうことのできない、自然とのマリアージュの中でイタリアン料理を堪能することで、より一層ラ・マムーニアの滞在に満足することだろう。

ガスパッチョにモッツァレラチーズを丸ごと乗せた冷製スープ、蛸のマリネをぶつ切りに季節の野菜とスパイスのソースを絡めたシェフならではの斬新な料理の数々。常連の宿泊者も魅了し続けるのも納得だ。ピザ専用の釜戸で焼いたマルゲリータは同行者とシェアしたい。

Le Bar Majorelle

画家、東洋学者でもあったマジョレ氏に因んでアジアの要素も取り込まれた建物。
夜のライトアップも荘厳だ。

ラ・マムーニア中心部に位置するマジョレルバー。イブ・サンローランが買い取ったマラケシュの「マジョレル庭園」を造園したフランス人画家のジャック・マジョレル氏に由来している。2020年の改修により、ピエール・エルメが新たに監修するこのエリアが加わった。世界中でここでしか味わうことのできないピエール・エルメのオリジナルのソルティーメニューやスイーツを堪能することができる。昔ながらの仔牛のブランケット、蟹のサラダ、バーガーなど、パリジャンスタイルのビストロメニューが監修されている。

Le Churchill

改修を手掛けたのは、フランス出身のパトリック· ジュアン氏とサンジット·マンク氏。建築家とデザイナーのコンビとして有名なこの芸術家たちは、ラ・マムーニアに新しい命を吹き込んだ。スモークオークの床から浮き上がるように輝く馬蹄形の黒大理石のテーブルが醸し出す雰囲気は、古きよき英国の鉄道馬車を模している。ウィンストン・チャーチル元イギリス首相の名前に由来した当ホテルのランドマーク的な存在の「チャーチル・バー」は、改装によりわずか20席のプライベートな空間に生まれ変わった。パリで最古のキャビアメーカーから届く特注品キャビア・メゾンはここでしか食べることができない。先日、世界的なデザインアワード受賞し、輝かしい歴史に新たなページを刻んでいる。

Le Pavillon de la Piscine

マラケシュの暑さを和らげる涼やかなプールの横には「ル・パビリオン・ドゥ・ラ・ピシン」がある。以前の建物をアップグレードし、ビュッフェスタンドスペースへと姿を変えた。中央にはマジョレル公園の青い噴水を思い起こさせる円形のレイアウト。人気のサンデーブランチはもちろん、朝食と昼食がビュッフェスタイルで提供されている。プールサイドで優雅なひと時を過ごしながら軽食をいただくのも旅慣れたゲストの楽しみだろう。空間はモノクロで明るく、ゲストに提供されるフレッシュで多様性に富んだ食事を際立たせている。

旅慣れた男が手配する
SWEET DINING

Romantic Dinner

モロッコタイルの通路に並べられた煌くキャンドル。白いタイルを鮮やかに彩る赤い薔薇は、つい先ほど庭園から摘み取られてきたのだろうか。キャンドルと薔薇で出来た道の先に二人だけのテーブルをセッティング。今後の旅の計画に顔を綻ばせながら乾杯を合図に日が暮れてゆく。キャンドルの灯火が光を増したころ、チャペルの方からウェイターがメインのタジン鍋を二人のために用意する。蓋を開ければチキンの香ばしい香りとレモングラスの華やかな香りがあたりを包み込み、気づかぬうちに二本目のコルクの音が鳴るだろう。特別な日でなくても彼女を喜ばせたい。静寂の中揺れるキャンドルを眺め、どこか心地よい時を刻みながら今宵は酔いしれるのも悪くない。

Dinner at wine cellar

ラ・マムーニアに宿泊するのであれば一度は体験していただきたいワインセラーディナー。ワインセラーを目の前に用意されたプライベート空間でモロッカン料理を堪能できる。まずはソムリエと、ずらりと並ぶワインボトルの数々から今宵の友を選びたい。さすがは世界No.1ホテルと言わんばかりに名だたる銘柄が揃っている。まるで宝探しをするように、お互いの生まれた年や、二人の記念年のワインを探したり、人目を気にせずリラックスした時間を愉しむことができるのは、今宵は二人だけのワインセラーだから。

たわいもない話で二人の笑い声が絶えない中、数十種類の前菜がテーブルに用意され、それぞれがスパイスの色を奏でている。これが、ラ・マムーニアが誇るスパイスの魔術師が作り出す逸品かと納得していると、いつの間にかメインコースのタジン鍋に。1日1組の特別な空間。旅慣れた男なら、この特別な空間の用意は至極当然の演出と言えるだろう。

旅慣れた男が手配する
SWEET EXPERIENCE

ピエール・エルメのスイーツを好きなだけプレートに堪能できる。こんなに贅沢な事ができるのはラ・マムーニアだからである。可愛らしいサイズのマカロンを始め、ピエール・エルメらしいアイディアが詰まったスイーツを制限なく楽しめる。大切な方のために"映えるスイーツ"を大切な方に用意するのも旅慣れた男なら当たり前。

Pierre Hermé's Afternoon Tea

言わずともしれた21世紀のパティスリー界を先導する第一人者、ピエール・エルメ氏のパティスリーがラ・マムーニアに2017 年に誕生した。この世界的なパティシエは、4代続くアルザスのパティシエの家系の出身。

パティスリー界の第一人者、ピエール· エルメ氏と株式会社アルカディアの代表才津香果の対談風景。アフタヌーンティーを囲みながらパティシエとしての経営者としての生い立ちを尋ねる。
本誌インタビューページにてエルメ氏について紐解いてゆく。

エルメ氏は、常に創造性あふれる菓子作りに挑戦し続け、独自の"オート・パティスリー"を極めてきた。その才能は世界的に認められ、世界的ファッション誌VOGUEから"パティスリー界のピカソ"と称賛されたほど。そのエルメ氏が満を持して提供する秀逸なアフタヌーンティー。モロッコタイルで彩られた壮麗パティオで天才が手がけるアフタヌーンティーはいかがか。

アフタヌーンティーは上段:ストロベリーとココアのマカロン 中段:レモンピューレとレモンのタルト、ラズベリーのマカロン 下段:卵とツナのサンドウィッチ。手前のピエール・エルメのイニシャル"H"が描かれている。ストロベリーホワイトチョコレートとブラックチョコレートの二味だ。ピエール・エルメのショップでお土産を買うこともできる。

Marrakech tour by Porsche Panamera

ゲストをお迎えするのは、ラ・マムーニアのロゴが印字された磨き上げられた漆黒のポルシェ。長時間のフライトで疲労したゲストを不便なく快適にラ・マムーニアまで送り届ける。マラケシュの土地に降り立った瞬間からラ・マムーニアのホスピタリティの高さに気づくだろう。要望があれば滞在時にポルシェでマラケシュの街を散策できる。心づくしの快適な送迎でモロッコの魅力溢れるエキゾチックなマラケシュの街を思い切り満喫したい。

Sunset Hot Air Balloon


一度は体験すべきアクティビティ、ホットエアバルーン。カラフルな気球に乗って飛び立てば、地上からは拝むことのできない風光明媚なマラケシュの景色を眺める事ができる。やはり最高のシチュエーションの用意をするなら早朝だろう。朝焼けに染まる空とエアバルーンに用意された朝食。大空での朝食をいただけばモロッコを旅先に選んだことが正解だったと再確認するだろう。

Spa & Pool

滞在の醍醐味でもあるスパトリートメントのエントランス。スパティシャンの熟練の技で体を解し、差し込む光に映し出されたモロッコ芸術に身を任せる。多忙な日常から距離を置いて、思い切りリフレッシュしたい。

このトリートメントを受けるためだけにラ・マムーニアに通うセレブリティもいるほど、高い評価を得ている。2,500㎡の広さを誇る、ラ・マムーニアのスパ施設。2つの伝統的なハマム、1つのプライベートハマム、10室のマルチトリートメントルーム、ジャグジー付き温水プール、プライベートスパなどを揃えている。ここでは、ハマム、サウナ、ガスール、アルガンなど、モロッコの伝統と現代の技術を融合させたトリートメントを楽しむことができる。モロッコでは古くから、ガスールと呼ばれる粘土やサフランなど天然物を使用したボディケアの技術が継承され、長年にわたり発展してきた。「ガスール」とはアラビア語で「洗い清める」という意味で、中東や北アフリカで、古代から人々に愛されてきた洗浄効果をもつ粘土を指す。1000 年以上も前から、汚れや不要な角質を洗浄する成分として、また洗浄と保湿効果を併せもつミネラル成分として重用され、肌や髪をしっとりとなめらかにする効果があることから、スパやハマムで用いられてきた。そして「ハマム」とはトルコ式の高級公衆浴場の事で、古くはローマ時代の浴場文化を踏襲して発達したと考えられており、中東のホテルには欠かせない施設だ。トリートメントのメニューは、リラクゼーション、フェイシャルトリートメント、ホットマッサージ、ボディラップ、スクラブなど。エステには、スイスを代表するブランドヴァルモンを使用。モロッコ文化とオリエントの風習が溶け合い、至高のトリートメントを提供している。かつては灼熱の砂漠の旅に疲れた客人を癒し、現在では世界中から集まるセレブたちを癒し続けている至高のトリートメントなのだ。

INFORMATION
La Mamounia
・電話番号|212 5243 88600 ・客室|206室 ・チェックイン|15:00 ・チェックアウト|12:00 ・ アクセス|マラケシュ-メナラ空港より車で約10分 ザ・リーディングホテルズ オブ・ザ・ワールド (電話番号 : 0120-086-230) ※日本国内通話料無料
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