リゾートの遊び心は深化する
蒼の奇跡ペンバ島に浮かぶ水中ヴィラ
タンザニア本島からエアトリップで約2時間。ペンバ島は本島とは異なり、獣達の生息は少なく、様々な場所からオーシャンビューが望める。空港から車でさらに奥地に向かうとビーチリゾートは存在する。海も空も果てしなく蒼い。そんな美景を唯一無二の「水上ヴィラ」で味わいたい。
セレンゲティに代表される野生の王国としてのイメージが強いタンザニアだが、実はマリンリゾートとしても比類なきクオリティを誇っているのをご存知だろうか。インド洋に面した都市タンガ沖合50kmの位置に浮かぶペンバ島はスキューバダイビングのメッカ。ザンジバル諸島の一部であり、面積は988km²で沖縄の半分弱の大きさと言えば、そのスケール感が分かるだろう。
かつては黄金と同じ価値があったといわれる香辛料クローブ(チョウジ)の産地であり、なんと世界の70%のクローブがここペンバ島産だ。島全体をマングローブの原生林が覆い、その周囲を純白のビーチとコバルトブルーに輝くラグーンが取り巻く。セレンゲティが地上における自然の宝庫ならば、ペンバ島はインド洋の大自然が作り出した海の奇跡だ。息を呑むような美しさを誇る手付かずのサンゴ礁やイルカ、クジラ、ウミガメ、マンタなどのさまざまな海洋生物。世界のホテルラバーが一度は泊まって見たいと憧れる唯一無二の絶景ホテル「マンタ・リゾート」はそのペンバ島にある。リゾート内ではどこからでも美しい海の眺めを楽しめるのだが、ユニークなのが「アンダー・ウォーター・ヴィラ」と呼ばれる水中ヴィラだ。秘境のオアシスを求め続けたペンバ島の先駆者。彼らが作り上げた唯一無二の水中ヴィラを世界の旅行者が求める理由を紐解きたい。
アクセスはボートのみ
南魚と眠る別世界の水中ヴィラ
「アンダー・ウォーター・ヴィラ」は海岸から250m離れた位置に作られていてアクセスはボートのみ。ヴィラの周囲は360度青く輝く海に囲まれている。3階建ての構造になっていて1階に相当する水深4メートルにベッドルーム、2階にあたる水上フロアにはリビングルームやバスルームがあり屋上には日焼け用のキングサイズのデイベッドがある。美しいインド洋の自然を満喫するのにはシュノーケリングやスキューバダイビングももちろんいいが、「アンダー・ウォーター・ヴィラ」に滞在するのなら水上と海底での生活をじっくりと味わうのがいいだろう。
感覚的にはまるで大型ヨットで過ごしているような快適さだ。そして地下へと梯子を降りれば、まるで潜水艇に乗っているかのようなよう幻想的な水中空間を味わえる。日の光が部屋へと差し込み、室内色をコバルトブルーへ変え、夜になり暗闇に響くのは波の音のみである。子供の頃、人魚の世界を夢見た大人達が、心躍らせるのも「アンダー・ウォーター・ヴィラ」だからだろう。
Under Water Villa
「アンダー・ウォーター・ヴィラ」は海に浮かぶフローティングハウスそのもの。地上フロアから直接海にダイブ、シュノーケリングを楽しむこともできるし、泳ぎ疲れたら屋上で日光浴することもできる。
夜ともなれば屋上デッキでは満点の星空鑑賞が楽しめるし、水中にはスポットライトが灯るので1階のベッドルームでは神秘的な眺めが堪能できるはずだ。眠っている時、物音でふと目を覚ませば窓の外にはイルカやマンタが遊んでいる、そんな光景に出会うことも決して夢ではない。海底で眠る、そんなまたとない体験を。
Seafront Villas
「マンタリゾート」は海底気分に浸れる「アンダー・ウォーター・ヴィラ」だけでなく、ビーチサイドでの滞在も快適に過ごせる設備が整っている。
サファリとは違った海洋性の植生に囲まれた「ガーデンルーム」は広々としたプライベートなオープンプランのデザインが特徴。4柱のキングサイズベッドと、開放的な広い専用バスルームを完備。屋外シャワー付きのプライベートガーデンもあるので、まるで熱帯の別荘に滞在しているかのようにくつろげる。地元の素材を使った伝統的なペンバン装飾で作られており静かな庭園「スワヒリ・バラザ・ラウンジ」はリラックスに最適な場所。
ドレスコードはベアフット
時間と共に表情を変える白の芸術
Sandbank
ペンバ島では干潮時になると純白の砂州、サンドバンクが現れる時がある。リゾートからボートを走らせること約10分、普段は水中に隠れているサンドバンクの上を歩く時間はまた格別なひとときだ。
足元には白いサンゴが輝き、周囲はまばゆいばかりのコバルトブルーに輝く海。フルーツと軽食が入ったクーラーボックスも用意されているので、しばし水上ピクニックが楽しめるというわけだ。これほどの絶景には滅多に出会えない。ただ、サンドバンクに出会えるには潮や海流、季節などの気象条件が大きく左右するので常に出会えるとは限らない。リゾートと共に綿密なスケジュールを立て、一握りの幸運なゲストのみに許された特別な体験なのだ。
Catamaran
カタマランとは、南太平洋ポリネシアの原住民が古来より用いていた双胴船のこと。風が穏やかな日にはカタマランヨットで海へと飛び出し、しばしサンドバンクを満喫したい。なにより双胴船という形状は安定度が高く、広いデッキが作れることもカタマランの特徴。その穏やかな乗り心地はまるでプールの上で漂っているかのよう。船体から身を乗り出し、海の底をのぞいても船は揺れることなく、常に安定しているので女性でも安心して楽しめる。特に夕暮れ時のカタマランクルーズはロマンチックのひとこと。デッキから海に足を浸してしばしインド洋のサンセットを見つめる、そんな特別な体験も可能だ。
Seafood Platter
海に囲まれたペンバ島でのランチは豊かなシーフードを心ゆくまで楽しみたい。スチームしたオーシャンクラブは甘味が強く、とれたてのエビのグリルはシンプルに塩だけでいただく。また、新鮮なイカはペンバ島が誇る美味。刺身に慣れた日本人の舌も満足させてくれるはすだ。
付け合わせのベイクドポテトもまた美味。よく冷えた白ワインをお供に、しばしインド洋の海の果実を味わう。シンプルイズザベスト、これほどのシーフード体験ができるのは、海に囲まれたペンバ島だからだろう。
Romantic Dinner
ペンバ島での1日を締めくくるディナータイムは、白砂のビーチにテーブルをセットアップして2人だけのロマンチックなひとときを。芳しく香るブーゲンビレアのアーチの下、キャンドルが灯るシチュエーションはきっといつまでも記憶に残るはず。段々と暮れゆく海を見ながら、スタッフがサービスしてくれるシーフード料理とワインに舌鼓を打つ。聞こえてくれるのは静かな波の音だけ。気づけば2人の頭上には南十字星をはじめとした、日本では見られないまばゆいばかりの満天の星空が。普通のレストランでは体験できない、ゆったりとした特別な島時間が、マンタリゾートには流れている。